志望理由書の添削をしていると、落ちやすい答案には共通のパターンがあることに気づく。良い書き方を学ぶのも大事だが、「何をやると評価が下がるか」を先に知っておくほうが、実は近道になることが多い。
この記事では、lonova編集部が添削で頻繁に見かけるNG例を10パターンに整理し、それぞれ「なぜダメか」「どう直すか」の3点セットで解説する。後半では、実際にNGな一文をOKな一文に書き換える例を3組示す。評価される3軸(一貫性・必然性・学問への接続)の基本は 志望理由書の書き方|総合型・推薦で通る800字の構成と例文 で解説しているので、まだ読んでいない場合はあわせて確認してほしい。
志望理由書のNG例を先に知っておく意味
自分で書いた志望理由書のどこが弱いのか、書いた本人はなかなか気づけない。理由は単純で、自分の文章は「自分にとっては当たり前」に読めてしまうからだ。
NG例を先に知っておくと、次の2つの効果がある。
- 自分の答案に同じパターンが混ざっていないか、チェックリストとして使える
- 書き直すときに「何を避ければいいか」が明確になり、修正の手が止まらなくなる
以下、10のNGパターンをまず一覧で示し、そのあと具体的に解説する。
NG例10選(一覧)
| No | NGパターン | なぜダメか | 直し方の方向性 |
|---|---|---|---|
| 1 | 大学パンフレットの引き写し | 大学側もすでに知っている情報を要約しているだけ | 自分がその情報にどう反応したかを書く |
| 2 | 夢を語るだけで大学が出てこない | どの大学に出しても通ってしまう文章になる | 大学固有の資源(教員・カリキュラム)と接続する |
| 3 | きっかけだけで学びの計画がない | 過去で終わり、現在・未来につながらない | きっかけの後に「何を調べ・学んだか」を足す |
| 4 | 抽象語の連発 | 「多様性」「思いやり」だけでは何も具体化されない | 抽象語を使った直後に具体的な場面を1つ添える |
| 5 | 卒業後の話が壮大すぎる | 「世界平和に貢献する」など現実の射程を超える | 学部・分野レベルまで射程を絞る |
| 6 | エピソードが多すぎて散漫 | 結局どれが核なのか読み手に伝わらない | 核になるエピソードを1〜2個に絞る |
| 7 | 借り物の表現が透ける | 塾やテンプレ集の言い回しがそのまま見える | 自分の言葉で言い換える |
| 8 | 学問への接続がない | 「人を助けたい」で終わり学問名が出てこない | 「だから〇〇学の〇〇領域を学びたい」まで書く |
| 9 | 自己評価が高すぎる | 傲慢な印象を与え、成長余地が見えない | 「まだ理解が浅い」など限界を1文入れる |
| 10 | 字数指定を守っていない | 指定の1割を超えると形式的減点の対象になりやすい | 段落ごとに字数配分を決めてから書く |
NG1〜5|内容が薄くなるパターン
NG1:大学パンフレットの引き写し
「貴学は建学の精神として〇〇を掲げ、少人数教育を重視しています」という書き出しは、大学案内やWebサイトに載っている情報をそのまま要約しただけになりやすい。面接官からすると「これは誰でも書ける」と映る。直すときは、その情報に触れて自分がどう感じたか、どんな一次体験と結びついたかを添える。オープンキャンパスでの一次体験の集め方は オープンキャンパスは「志望理由書の材料集め」で行く にまとめている。
NG2:夢を語るだけで大学が出てこない
「将来は人の役に立つ仕事がしたい」で段落が終わり、その大学・学部でなければならない理由が出てこないパターン。大学名を入れ替えても成立してしまう文章は、必然性が弱いと判断される。教員名・研究領域・カリキュラム名など、大学固有の情報と自分の関心を1点でも結びつける。
NG3:きっかけだけで学びの計画がない
「〇〇という体験がきっかけで関心を持った」で止まり、その後に何を調べ、何を学びたいかが書かれていないパターン。過去のエピソードは入り口にすぎない。きっかけの後に、現在どう行動しているか、大学で何を学びたいかまで一本の線でつなぐ。
NG4:抽象語の連発
「多様性」「思いやり」「コミュニケーション能力」といった言葉は、それ単体では何も伝えていない。抽象語を使うこと自体が悪いのではなく、そのあとに具体的な場面や数字が続かないことが問題になる。抽象語を書いたら、必ず直後に1つ具体例を添える癖をつける。
NG5:卒業後の話が壮大すぎる
「世界平和に貢献したい」「地球環境を守りたい」のようなスケールの大きい結論は、現実的な行動計画が見えず、読み手に「本気度が薄い」と感じさせやすい。学部・分野レベルの具体的な職業や活動に射程を絞ると、現実味が増す。
NG6〜10|伝え方が崩れるパターン
NG6:エピソードが多すぎて散漫
部活動、ボランティア、留学経験など複数のエピソードを詰め込みすぎると、結局何が核なのか伝わらなくなる。核にできるエピソードを1〜2個に絞り、残りは面接で聞かれたときの補足材料として温存する方が効果的だ。
NG7:借り物の表現が透ける
塾のテンプレートやネットの例文集の言い回しをそのまま使うと、独特の硬さや不自然な敬語表現として残ることが多い。読み返して「自分がふだん使わない言葉だ」と感じる表現は、自分の言葉に言い換える。丸写しがなぜ見抜かれやすいかは 志望理由書の例文集|学部系統別5本と使い方 で詳しく解説している。
NG8:学問への接続がない
「困っている人を助けたい」「社会を良くしたい」で終わり、それが学問の何にあたるのかが書かれていないパターン。社会福祉学なのか、公共政策なのか、看護学なのか。学問名・分野名まで踏み込んで書けると、大学側は「何を学ぶ準備ができているか」を判断しやすくなる。
NG9:自己評価が高すぎる
「私はこの分野について十分理解している」というトーンで一貫していると、成長余地が見えず傲慢な印象を与えることがある。「まだ理解が浅い部分がある」「これから学びたい」という一文を1つ入れると、素直さと向上心が伝わりやすくなる。
NG10:字数指定を守っていない
「800字程度」と指定されているのに600字で終わっていたり、1,000字近く書いてしまったりするケースは、内容以前に形式面で減点対象になりやすい。段落ごとに字数配分を決めてから書き始めると、字数オーバー・不足を防ぎやすい。
NG→OK書き換え例文3組
実際の一文レベルでの書き換え例を3組示す。
組1(NG1・パンフレット引き写し → OK)
NG:「貴学は少人数教育を重視しており、きめ細やかな指導を受けられる点に魅力を感じました。」
OK:「オープンキャンパスで模擬授業を受けた際、教員が1人ひとりの発言を拾いながら議論を組み立てる進め方を見て、少人数教育がどう機能するかを具体的に実感した。」
組2(NG4・抽象語の連発 → OK)
NG:「私は多様性を尊重し、思いやりを持って人と接することを大切にしています。」
OK:「文化祭の合同企画で意見が対立した際、相手の主張の背景にある事情を聞き取ってから提案し直したことで、企画が前に進んだ経験がある。」
組3(NG5・卒業後の話が壮大すぎる → OK)
NG:「将来は世界中の人々の暮らしを豊かにする仕事に就きたいです。」
OK:「将来は地域の中小企業の経営支援に携わり、地元の商店街のような小規模事業者の事業継続を後押しする仕事に就きたい。」
3組に共通するのは、抽象的な主張の後ろに、具体的な場面・行動・対象を1つ添えている点だ。この「1文足す」だけで印象が大きく変わる。
自分の志望理由書をNGパターンでチェックする方法
書き上げた志望理由書を見直すときは、次の手順でチェックすると効率がよい。
| チェック手順 | 確認すること |
|---|---|
| 1. 一覧表と照合する | NG例10選のどれかに当てはまる箇所がないか印をつける |
| 2. 抽象語を検索する | 「多様性」「思いやり」などの直後に具体例が続いているか |
| 3. 大学名を入れ替えて読む | 別の大学名にしても違和感なく通ってしまわないか |
| 4. 声に出して読む | 借り物っぽい硬い言い回しが耳で分かるかどうか |
自分だけでのチェックには限界がある。lonovaの 志望理由書のAI添削 は、無料登録すれば志望動機・大学適合・具体性・将来像・文章力の観点でスコアと改善点を返してくれる。抽象語の多用や論理の飛躍は、AIのほうが機械的に拾いやすい部分でもある。まだ構想段階で1人で行き詰まっている場合は、チャットで壁打ちしながら書ける 志望理由書コーチ(サブスク限定)も選択肢になる。
よくある質問
NG例に1つも当てはまらなければ合格できますか
NG例を避けることは減点を防ぐための最低条件であって、合格を保証するものではない。NGを避けたうえで、自分固有の体験と大学固有の情報がどれだけ具体的に結びついているかが最終的な評価を分ける。
抽象語は一切使ってはいけませんか
使ってもよい。問題は抽象語だけで終わることだ。「多様性」という言葉を使うなら、その直後に「文化祭の合同企画で〇〇という場面があった」のように、具体的な場面を1つ添えれば問題ない。
複数のNGパターンが同時に当てはまる場合はどこから直せばいいですか
内容面(NG1〜5)を先に直してから、伝え方(NG6〜10)を整えるとよい。内容が薄い状態で言い回しだけ整えても、面接で深掘りされたときに答えられない。
字数オーバーはどのくらいまで許容されますか
大学の指定による。「800字程度」なら720〜880字程度、「800字以内」なら700〜800字程度が安全圏とされることが多い。詳しい配分の考え方は 志望理由書の書き方 を参照してほしい。
まとめ
この記事の要点をまとめる。
- 志望理由書の失敗は「内容が薄くなるパターン(NG1〜5)」と「伝え方が崩れるパターン(NG6〜10)」の2種類に大別できる
- NG例に共通するのは、抽象的な主張の後ろに具体的な場面が続いていないこと
- 「1文足す」だけで印象が大きく変わる書き換え例を3組紹介した
- 自分でのチェックには限界があるため、AI添削や第三者の目を通すと精度が上がる
NG例を先に知っておけば、書き直しの手が止まりにくくなる。書き上げたら、提出前に一度客観的な目で確認しておこう。


