「早稲田の小論文対策をしたい」という相談をよくもらう。だがこの一言には、実は落とし穴がある。早稲田の小論文は、学部と入試方式によって「あるかないか」も「どんな形式か」もまったく違う。慶應のように全学部で小論文が看板になっている大学とは事情が異なる。
この記事は lonova 編集部が、早稲田大学の公式な入学者選抜情報と各学部の入試ページをもとに、「結局どの入試で小論文や論述が必要なのか」を整理したものだ。ネット上には古い名称のまま書かれた記事も多いので、まず正確な現在地から確認していく。
なお、配点・字数・試験時間・出願資格は年度ごとに変わる。本記事は2026年度入試の時点で確認できる情報を基準にしているが、受験する年度の最新の入学者選抜要項で必ず裏取りしてほしい。この前提を最初に置いておく。
まず結論:早稲田の小論文は「学部 × 方式」で別物
先に要点だけ言う。
- 早稲田の 一般選抜には、独立した「小論文」という科目はほとんど残っていない。近年は「総合問題」という、資料やデータを読んで記述する形式に再編されている。
- 一方で、小論文や論述がはっきり課されるのは、総合型選抜や自己推薦の二次試験だ。学部でいうと社会科学部・人間科学部・国際教養学部・スポーツ科学部などが該当する。
- だから「早稲田 小論文」と検索する前に、自分が受ける学部・方式に小論文があるのかをまず確認することが、対策の出発点になる。
ここを取り違えたまま一般的な「小論文の書き方」だけ練習しても、的を外す。順番に見ていく。
一般選抜に「純粋な小論文」はほぼ無い
まず誤解されやすい点から。早稲田の一般選抜は、多くの学部で英語・国語・地歴/数学といった教科型の試験が中心だ。慶應の一般選抜のように「小論文」という独立科目が広く並んでいるわけではない。
かつてスポーツ科学部には「一般選抜(小論文方式)」という呼び方の試験があった(2022年頃)。だが2025年度の入試改革で、これは「総合問題」へと再編・拡張された。早稲田の公式な入試改革の案内には、総合問題は「データの読み取りや小論文を含む内容とする」と説明されている。つまり小論文の要素は残っているが、独立した「小論文」という名前ではなくなった。
政治経済学部の一般選抜も同様に「総合問題」で、日本語と英語の長文を読んだ上で記述する形式(英作文を含む)になっている。公式の科目名に「小論文」「論述」という語は使われていない。
ここが最初の注意点だ。ネット上の古い記事が「早稲田スポーツ科学部の小論文方式」と現在形で書いていることがあるが、現行の名称は「総合問題」。名称が変わると配点も試験時間も変わっている。古い情報で対策の前提を組まないようにしたい。
小論文・論述が課される入試の早見表
では、実際に小論文や論述系の記述試験が課されるのはどこか。2026年度入試の時点で確認できる主なものを整理する。
| 学部 | 入試区分 | 小論文・論述の扱い | 形式の傾向 |
|---|---|---|---|
| スポーツ科学部 | 一般選抜 | 「総合問題」に含まれる | データ読み取り+論述 |
| スポーツ科学部 | 総合型(Ⅲ群 自己推薦) | 二次で小論文 | 小論文+面接 |
| 社会科学部 | 総合型(全国自己推薦) | 二次で小論文 | 小論文+面接 |
| 人間科学部 | 総合型(FACT選抜) | 二次で論述 | 数量データ分析型の論述+面接 |
| 国際教養学部 | 総合型(AO入試) | 筆記で英語小論文 | Critical Writing(英語)+志望理由エッセイ |
| 政治経済学部 | 一般選抜 | 「総合問題」に含まれる | 日英長文読解+記述+英作文 |
逆に言えば、この表以外の学部・方式は 教科型の試験が中心だ。ただし論述・記述問題の有無は学部・方式で異なり、教育学部・商学部・理工系学部などについては本記事では確定できていない。「表に無いから小論文は不要」と決めつけず、自分の志望学部の過去問と最新の要項で、論述問題が含まれるかを必ず確認してほしい。
一般選抜の「総合問題」とは何か
スポーツ科学部と政治経済学部の一般選抜に出てくる「総合問題」は、いわゆる作文型の小論文とは少し違う。共通しているのは「与えられた資料・データ・長文を読み解いた上で、自分の言葉で記述する」という点だ。
スポーツ科学部は2025年度の改革で、共通テストと組み合わせる120分の総合問題に再編された。データの読み取りと小論文的な記述を含む構成だ。参考までに、改革前の2022年に公開されていた小論文(図表データを読み取って601字以上1,000字以内で論述する形式)が、現在の総合問題の源流にあたる。ただしこれは2022年時点の例であり、現行の配点・時間・字数は最新要項で確認する必要がある。
政治経済学部の総合問題は、日本語と英語の長文を読み解いて記述する形式で、英作文も含まれる。単なる知識の再現ではなく「読んで・考えて・書く」力が問われる設計になっている。
要するに、早稲田の一般選抜で記述が求められる場面は、「テーマだけ与えられて自由に書く小論文」よりも、「資料を正確に読み取り、その内容を踏まえて論じる」タイプだと理解しておくとよい。
総合型・自己推薦で論述が出る学部
小論文・論述が最もはっきり課されるのは、総合型選抜や自己推薦の二次試験だ。学部ごとに性格が違うので分けて見ていく。
社会科学部(全国自己推薦入試) 一次が書類審査、二次が小論文と面接という構成。出願時に志望理由書と活動記録報告書を提出する。社会科学部は指定校推薦を実施しておらず、公募制の自己推薦(早稲田の分類では総合型選抜)を採っている点が特徴だ。
人間科学部(FACT選抜) 一次が書類審査、二次が論述試験と面接。論述は「数量的なデータの分析・論考・表現」を求めるデータ分析型で、課題文や図表を読み取る力が問われる。一般的な作文型の小論文とは毛色が違う。
国際教養学部(AO入試) 筆記審査が「Critical Writing」と呼ばれる英語での読解・記述(英語小論文に近い)と、日本語の志望理由エッセイで構成される。英語で資料を読み、自分の考えをまとめる力が必要になる。
スポーツ科学部(総合型 Ⅲ群 スポーツ自己推薦) 自己推薦系は複数の区分に分かれているが、小論文が課されるのは Ⅲ群のスポーツ自己推薦で、二次に小論文と面接がある。トップアスリート系やアスリート選抜の区分では小論文は課されない。自分がどの区分で出願するかで対策が変わる。
これらに共通するのは、当日の小論文/論述に加えて、出願書類や面接とセットで評価されるという点だ。書く力だけでなく、志望動機や活動実績との一貫性も見られる。
出願書類と当日の小論文は別物
ここは混同されやすいので独立して書いておく。総合型・推薦系では「志望理由書」「活動記録報告書」といった出願書類を事前に提出する。これらは家で時間をかけて書くものだ。
一方、二次試験の「小論文」「論述」「Critical Writing」は、試験当日にその場で書くもの。準備の仕方も評価のされ方も違う。
「早稲田の小論文対策」と一括りにすると、この2つが混ざってしまう。出願書類は自己分析と志望理由の練り込み、当日の小論文は資料を読んで論じる訓練——と、対策を分けて考えるのが正しい。
早稲田型に共通する「読んで論じる」力
学部ごとに形式は違うが、早稲田の論述系には一本の共通軸がある。それは「与えられた資料・データ・課題文を正確に読み取り、それを踏まえて自分の考えを筋道立てて書く」という力だ。
スポーツ科学部や人間科学部のデータ分析型、政治経済学部の長文読解型、国際教養学部の英文読解型——表面の形式は違っても、土台にあるのは同じ「読解 → 論述」の流れだ。
だから対策としては、「お題を見て自由に書く」練習よりも、資料を読んで要点をつかみ、それを使って論を組み立てる練習の比重を高めたい。図表や統計を読み慣れること、長文の主張を短く要約できること、そのうえで自分の立場を理由づきで示せること。この3つが早稲田型の核になる。
過去問の入手先
早稲田の入試問題は、公式の入学センターが過去3年分をPDFで公開している。一般選抜だけでなく、自己推薦・AO・FACTなどの方式別の問題も対象に含まれる。まずは志望学部・志望方式の実物を見るのが、どんな対策本を読むより早い。
ただし注意点がある。著作権処理の都合で、課題文型の問題は本文がマスキング(非公開)されている場合がある。また解答例や出題意図の一部は、入学センターの事務所でのみ閲覧できる形になっていることもある。政治経済学部のように、年度によっては「解答例」「出題の意図」が公式サイトで公開される方式もある。
公開資料を見るときは、設問の形式(資料の有無・字数・時間)と出題の方向性を読み取ることに集中するとよい。本文が読めなくても、設問の作りから「何を問う試験か」は十分つかめる。
年度で変わるので要項確認
ここまで読んで分かる通り、早稲田の論述系は方式名・配点・字数・出願資格が頻繁に変わる領域だ。実際、スポーツ科学部の「小論文方式」が「総合問題」へ変わったように、数年で前提がひっくり返ることがある。
だから本記事の内容も、必ず次の一次情報で裏取りしてほしい。
- 受験年度の 入学者選抜要項(学部・方式別の試験科目と配点)
- 志望学部の 公式入試ページ
- 入学センターの 過去問・解答例ページ
「去年の先輩がこうだったから」「ネットにこう書いてあったから」で固めず、自分が出願する年度の要項を一次情報として読む。これが早稲田対策で最初にやるべきことだ。
なお、「早稲田は採点基準を公表していない」と書かれることがあるが、これは正確ではない。政治経済学部のように解答例や出題意図を公開している方式もある。慶應のように要綱で評価項目を逐条明示する形とは異なるものの、「完全に非公開」と決めつけるのも誤りだ。公開されている資料は最大限活用したい。
lonova での練習法
早稲田型の「資料を読んで論じる」力は、書いて・直してを繰り返さないと伸びない。だが過去問を解いても、採点してくれる人がいなくて書きっぱなしになる——これが受験生の典型的な詰まりどころだ。
lonova は、書いた小論文を AI が数十秒〜数分で 5 軸(設問適合・論理性・構成・具体性・文章力) のスコアと講評で返す AI 添削サービスだ。設問文を貼り付けて使えるので、早稲田型のように「資料・データを踏まえて論じる」答案でも、論理性や構成が伝わっているかを客観的に確認できる。登録不要で 1 日 1 回その場で試せるほか、無料登録すれば 1 日 3 件まで本格採点が使える。
特に早稲田の論述は「読み取った内容を、相手に伝わる順序で書けているか」が勝負になる。自分では書けたつもりでも、論理の飛躍や根拠の薄さは自分では気づきにくい。第三者の目を、何度でも・すぐに入れられる環境を作っておくと、過去問演習の質が変わる。
まとめ
早稲田の小論文対策で最初にやるべきことを、もう一度整理する。
- 早稲田の 一般選抜に独立した小論文はほぼ無い。スポーツ科学部・政治経済学部は「総合問題」(資料読解+記述)に再編されている。
- 小論文・論述がはっきり課されるのは 総合型・自己推薦の二次(社会科学・人間科学・国際教養・スポーツ科学Ⅲ群など)。
- まず 自分の学部・方式に小論文があるかを最新の入学者選抜要項で確認する。
- 早稲田型の核は「資料・データを読み取って論じる」力。自由作文より読解+論述の訓練を。
- 出願書類(志望理由書)と当日の小論文は 別物として対策を分ける。
形式に惑わされず、自分の受け方に合わせて準備すれば、早稲田の論述は十分に攻略できる。まずは志望方式の過去問を1つ手に取ることから始めてほしい。
よくある質問
早稲田の一般選抜では小論文は出ますか? 学部によります。多くの学部は教科型の試験が中心で、独立した小論文はありません。スポーツ科学部・政治経済学部では「総合問題」という、資料やデータを読んで記述する形式が課されます(年度により名称・内容が変わるため、最新の要項で確認してください)。
「小論文方式」という言葉を見ましたが、まだありますか? スポーツ科学部でかつて使われていた名称ですが、2025年度の入試改革で「総合問題」へ再編されています。古い記事の表記である可能性が高いので、必ず受験年度の公式情報で確認してください。
総合型・自己推薦の小論文と、出願書類の志望理由書は同じものですか? 別物です。志望理由書や活動記録報告書は出願時に提出する書類で、小論文・論述は試験当日にその場で書くものです。準備の仕方も評価のされ方も異なるため、分けて対策しましょう。
早稲田の小論文の過去問はどこで見られますか? 早稲田大学入学センターの公式サイトで、過去3年分の入試問題が方式別に公開されています。ただし著作権の都合で課題文が非公開の場合があります。志望学部・志望方式の実物をまず確認するのがおすすめです。




