「SDGsについて論じよ」――この設問は近年急速に増えている。総合型選抜、推薦入試、一般入試の小論文すべてで出るのに、書き方を体系的に教えるサイトは少ない。多くの受験生が「SDGsが大事だと述べる」だけで終わって、減点される答案を書いてしまう。
この記事では、SDGsをテーマにした小論文の書き方を整理する。17のゴール別の論じ方、採点者が見ている視点、AI採点で減点されやすいNGパターンを具体的に解説する。
筆者は AI 小論文添削サービス lonova 編集部。SDGs テーマの答案を多数採点してきた経験から、「SDGsで点が取れる答案」と「型通りで終わる答案」の差を観察してきた。
SDGs小論文の出題傾向
SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連が採択した17のゴールで構成される。2030年達成を目標にした国際的な枠組みだ。
出題形式は3パターンに分かれる。
- SDGs全体への意見:「SDGsの達成に向けて、あなたができることは何か」
- 特定のゴール深掘り:「ジェンダー平等(ゴール5)について論じよ」
- 資料読解と組み合わせ:SDGs関連の統計・図表を読み解く
総合型選抜・推薦入試では1つ目、一般入試では2-3つ目が多い傾向だ。
出題されやすい5つのゴール
SDGsには17のゴールがあるが、入試で扱われやすいのは5つに絞られる。
| ゴール | 内容 | 関連する学部 |
|---|---|---|
| 4. 質の高い教育をみんなに | 教育格差、生涯学習 | 教育学部、人文系 |
| 5. ジェンダー平等を実現しよう | 男女格差、性的多様性 | 法学部、社会系 |
| 7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに | 再生可能エネルギー、脱炭素 | 理工系、環境系 |
| 11. 住み続けられるまちづくりを | 地域社会、都市計画 | 建築、政策系 |
| 13. 気候変動に具体的な対策を | 温暖化、災害対策 | 環境、理工系 |
志望学部に対応するゴールを最低2つは深く理解しておく。
採点者が見ている3つの視点
SDGs小論文で採点者が見ているのは、3点に絞られる。
1. ゴール内容を正確に理解しているか
「SDGsは環境問題」と短絡的にまとめる答案は減点される。17のゴールは環境だけでなく、貧困・教育・ジェンダー・経済・平和まで含む。設問のゴールが何を求めているかを正確に把握しているかが見られる。
2. 抽象論で終わらず具体に落ちているか
「SDGsの達成が重要だ」「持続可能な社会を目指すべきだ」だけの答案は典型的なNGパターン。誰が、何を、どうするのかまで踏み込めているかが評価軸になる。
3. 自分との接続が見えるか
「企業が」「政府が」「社会全体で」と他人事で終わらない。「自分は何ができるか」「自分が学生として、または将来の◯◯職として何をするか」まで一歩踏み込めるかが採点者の関心事だ。
書き方の型
SDGs小論文は5ステップで書ける。
ステップ1:取り上げるゴールを1つに絞る
17のゴール全部を論じるのは800字では無理。1つ(多くて2つ)に絞って深掘りする。
ステップ2:そのゴールの現状を1段落で
取り上げるゴールの最新データを踏まえて、現状を簡潔に述べる。
ステップ3:課題を2つ提示する
ゴール達成を阻む課題を2つ並べる。「制度面の課題」と「個人レベルの課題」のように軸を分けると論理性が上がる。
ステップ4:解決策を「主体別」に書く
「政府が」「企業が」「個人が」のどれかではなく、複数の主体の役割を整理する。
ステップ5:自分の立場を明示
「学生として、または将来の◯◯職として、自分はこう関わりたい」を最後に書く。
国際協力ゴールの論じ方
ゴール1(貧困)、ゴール2(飢餓)、ゴール3(保健)、ゴール6(水)、ゴール10(不平等)など、国際協力系のゴールを扱う場合の書き方。
論点1:日本と途上国の関係
途上国の課題を「向こうの問題」として書かない。日本が原料を輸入している国の労働環境、日本企業の海外進出先での影響、日本の ODA(政府開発援助)など、日本との接続を必ず入れる。
論点2:個人ができる範囲
「フェアトレード商品を選ぶ」「寄付する」など、個人レベルでできることに具体的に触れる。ただし「フェアトレードを買えば解決」のような単純化は避ける。
論点3:構造的な視点
貧困や飢餓は個人の努力だけでは解決しない。経済構造、貿易制度、地政学的な背景を踏まえた論述ができると評価が一段上がる。
環境ゴールの論じ方
ゴール7(エネルギー)、ゴール11(まち)、ゴール12(消費)、ゴール13(気候)、ゴール14(海)、ゴール15(陸)など、環境系の書き方。
論点1:脱炭素と経済成長の両立
「環境のために経済を犠牲にする」は通用しない。両立をどう設計するかが現代の論点だ。再生可能エネルギーへの転換、サーキュラーエコノミー、ESG投資などの観点で論じる。
論点2:技術と社会受容性
新技術(再生可能エネルギー、電気自動車、水素エネルギー)は技術だけで普及しない。コスト、社会受容性、既存産業との調整など、社会的側面に触れる。
論点3:個人と社会のレバレッジ
「エコバッグを使う」レベルの個人努力と、「再生可能エネルギーへの大規模投資」レベルの構造変化の両方を視野に入れる。個人レベルだけで終わると論述が薄くなる。
社会包摂ゴールの論じ方
ゴール4(教育)、ゴール5(ジェンダー)、ゴール8(働きがい)、ゴール10(不平等)など、社会包摂系の書き方。
論点1:機会と結果の区別
「機会の平等」と「結果の平等」は別物だ。SDGs は「誰一人取り残さない」を理念に置くが、これは結果の平等ではなく、機会を得られない人をなくす方向の議論になる。この区別ができると論理性が上がる。
論点2:制度と意識の両輪
ジェンダー平等は法制度だけでは進まない。社会意識、家庭内の役割分担、職場文化なども含めて変わる必要がある。制度面と意識面の両輪を論じると深みが出る。
論点3:自分の身近な実例
学校・地域・家庭で経験した不平等・包摂の例を1つ入れると、抽象論にならない。
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SDGsでやりがちなNG
SDGs小論文で減点される答案には共通パターンがある。
- 「SDGsは大事だ」で終わる:価値判断のみで論証ゼロ
- 17のゴールを羅列:1つに絞れず散漫
- 政府・企業を主語にして終わる:「自分は何をするか」が抜ける
- 環境問題と決めつける:SDGs を環境だけに限定する誤解
- 数字の引用が古い:5年以上前のデータをそのまま使っている
- 「未来のために」で抽象化:誰のための未来か、何の未来かが曖昧
これらは AI 採点で「具体性」「論理性」軸の60-70点台にとどまる原因になる。
自分の答案をAI採点で見直す
SDGsテーマは「抽象論で終わりやすい」のが最大の落とし穴だ。書いている本人は具体的だと思っていても、採点者から見ると一般論にしか見えない、というケースが多い。
AI 採点を使うと、抽象語の使用頻度、具体例の有無、論理飛躍などが5軸スコアで可視化される。「具体性」軸が60点台で停滞している場合、抽象的な記述が多すぎるサインだ。
書いた答案を AI に出して、「具体性」「論理性」の2軸を中心に改善するサイクルが、SDGs テーマでは特に効く。
まとめ
SDGs小論文の書き方の要点をまとめる。
- 出題は3パターン(全体・特定ゴール・資料読解組み合わせ)
- 取り上げるゴールは1つに絞る
- 採点者は「正確な理解・具体性・自分との接続」の3点を見る
- 国際協力系・環境系・社会包摂系で書き方の型が違う
- 「政府・企業が」で終わらせず、自分の立場を最後に明示
- 抽象論で終わりがちな題材なので、AI 採点で具体性を確認する
SDGs は「大事だ」で終わらせず、構造と個人を行き来する論述で勝負する題材だ。
よくある質問
SDGsの17のゴールを全部覚える必要がありますか?
全部覚える必要はない。志望学部に関連する3-5個を深く理解しておく方が実用的だ。残りは「環境」「貧困」「教育」「ジェンダー」など大枠で把握していれば対応できる。
SDGsの最新の達成状況はどこで調べればいいですか?
外務省や国連広報センターの公式情報を1つ押さえておくと、引用元として安心だ。NHK や朝日新聞の解説記事も読みやすいが、入試小論文で引用するなら公式統計の方が説得力がある。
SDGsに批判的な意見を書いてもいいですか?
書いていい。むしろ単純な賛成より、批判的視点を含む答案の方が論理性で評価されやすい。「SDGsは理想論で実現困難」「先進国の自己満足」のような批判を踏まえつつ、それでもどう取り組むべきかを論じると深みが出る。





